メインコンテンツへスキップ
家づくりコラム
2026年8月15日

いわきの日照時間は東北で最長クラス|夏の遮熱・省エネで光熱費を抑える家づくり

「いわきは日当たりがいい」。家づくりのご相談でも、移住のご相談でも、ほぼ必ず出てくる言葉です。

ただ、これを数字で確かめた方は意外と少ないのではないでしょうか。私は市役所で都市計画と防災に携わってきた立場上、地域の話は必ず公表データに当たる癖がついています。今回はいわきの日照を数字で確認したうえで、その裏返しである「夏の日射をどう扱うか」を、家づくりの判断材料として整理します。

※ 気象データは気象庁が公表する平年値(2026年8月時点)によります。設備・工法の効果は住宅の性能や立地で変わるため、個別の光熱費削減額をお約束するものではありません。

数字で確認する|小名浜の年間日照時間は2,068.6時間

気象庁の平年値によると、いわき市小名浜の年間日照時間は2,068.6時間です。

いわき小名浜の年間日照時間2,068.6時間を東京・仙台・福島と比較したグラフ(気象庁平年値1991〜2020年)

比較のために、東北6県の県庁所在地と、東京・水戸・甲府を並べます。いずれも統計期間は1991〜2020年の30年平均で、同じ条件の数字です。

観測地点 年間日照時間
甲府(参考・全国上位) 2,225.8時間
小名浜(いわき市) 2,068.6時間
水戸 2,000.8時間
東京 1,926.7時間
仙台 1,836.9時間
福島 1,753.8時間
盛岡 1,686.3時間
山形 1,617.9時間
青森 1,589.2時間
秋田 1,527.4時間

▶ 気象庁|小名浜 平年値(年・月ごとの値)

小名浜は東北6県の県庁所在地をすべて上回り、東京や水戸よりも長い、という結果です。全国最上位の甲府には及びませんが、「東北にありながら日照に恵まれた土地」という実感は、データにも表れています。

あわせて、小名浜の年平均気温は13.8℃、年間降雪の深さの合計は24.3cm(降雪の統計期間は2008〜2020年)です。冬に雪が少なく、日が差す。いわきの暮らしやすさは、この2つの数字の組み合わせで説明できます。

日照が多いことは、夏には負担にもなる

日射が豊かであることは、冬には大きな味方です。日中に太陽の熱を取り込めれば、暖房の負担が下がります。

一方で、同じ性質が夏には反転します。私の見立てでは、いわきで家を建てた方が数年後に「夏の西日がつらい」とおっしゃるケースは、断熱性能の不足よりも日射の入れ方を設計段階で決めていなかったことが効いている場合が多い印象です。

夏に室内へ入り込む熱の多くは、壁や屋根ではなく窓から入ります。一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会の試算として広く引用されている数値では、冷房時に流入する熱のうち約73%が窓などの開口部、屋根から約11%、外壁から約7%、床から約3%とされています。業界団体による試算値ではありますが、「窓が主戦場」という優先順位の目安としては有用です。

▶ 一般社団法人 日本建材・住宅設備産業協会(建産協)

方位ごとに、窓の役割を分ける

遮熱は「全部の窓を同じ仕様にする」ものではありません。方位で狙いが変わります。

方位 夏 冬 設計の考え方
南 太陽が高く、庇や軒で遮りやすい 低い太陽の熱を取り込める 庇の出を確保したうえで、開口を大きめに取る価値がある
西 低い西日は庇で防ぎきれない 得られる熱は限定的 窓の数と面積を抑えるのが最も効きやすい。遮熱型ガラス+外側の日除け
東 朝日で室温が上がりやすい 朝の日射を取り込める 寝室配置なら、朝日の入り方を確認してから決める
北 直射は少ないが安定した明るさ 熱が逃げやすい 採光目的に絞り、断熱性能の高いサッシで熱損失を抑える

窓の外側で日射を止めるほうが、入ってしまった熱をカーテンで抑えるより効果は大きくなります。アウターシェード、すだれ、シャッター、落葉樹の植栽。いずれも設計段階で位置を決めておくと、後付けより自然に収まります。

いま増えている、もう一つの答え方

ここ数年、ご相談の現場で明らかに増えたと感じる設計の方向があります。高気密・高断熱を前提に、そもそも窓を大きく取らないという考え方です。

窓は、壁に比べればどうしても熱の出入りが大きい部分です。断熱性能を上げていくほど、「窓が弱点になる」という関係は強くなります。そこで、必要な採光と通風は確保しつつ、大きな窓の数を絞る。あわせて、ベランダを設けず、洗濯物は室内干しと衣類乾燥機で完結させる。こうした割り切りを選ぶご家庭が、はっきりと増えています。

選択 狙い 検討しておきたい点
窓を必要以上に大きくしない 夏の日射熱と冬の熱損失の両方を抑える。冷暖房費が安定しやすい 採光と通風が不足しないか。図面段階で各室の窓面積を確認したい
ベランダを設けない 建築コストと防水メンテナンス費を抑えられる。外壁の開口が減る 布団や大物を干す場所をどうするか。来客時の物干しの見え方
乾燥は衣類乾燥機で室内完結 天候と花粉・黄砂に左右されない。共働きでも時間帯を選ばない 機器の購入・電気代・更新費用。設置スペースと換気計画

念のため申し添えると、これが唯一の正解というわけではありません。日照に恵まれた土地で「外に干したい」というご希望は自然なものですし、南面の大きな窓が暮らしの満足度を大きく左右することもあります。光熱費とメンテナンス費を優先するのか、日々の心地よさを優先するのか。ご家族で順位を決めていただくための選択肢として、知っておいていただく価値があると考えています。

遮熱と日射取得は、両立できる

遮熱の話をすると、「では窓を小さくすればいいのか」と受け取られることがあります。前段の通り、それも一つの答えです。ただし、方位で役割を分ければ、両立もできます。

南面から冬の日射を取り込み、夏は庇と外側の日除けで遮る。西面は最初から絞る。年間を通した光熱費で考えると、この使い分けの有無は小さくない差になります。

方位・庇の出・窓の仕様は、建てる前であればまだ自由に決められる部分です。逆に、建ててからでは変えにくい部分でもあります。土地を選ぶ段階から「この敷地で南面をどう取るか」を考えておく価値は十分にあります。

当窓口では、敷地の方位と日射の入り方を踏まえた間取りのご相談を受け付けています。相談料は無料で、特定の住宅会社や設備メーカーを売り込むことはありません。まだ土地が決まっていない段階、建てるかどうか決めていない段階でも歓迎です。

無料相談を予約する(土地の日当たり相談だけでもOK)

※ 気象データは気象庁の平年値(2026年8月時点で公表されているもの)によります。日照時間はいずれも統計期間1991〜2020年の値です。
※ 開口部からの熱流入割合は業界団体による試算値であり、住宅の仕様・立地により実際の値は異なります。
※ 本記事の構成・キーワード設計には、情報価値研究所のreleasenoteを参考にしています。

TOPへ